社会は思い通りに行かないのが普通です
「近頃の子どもはすぐキレる」といわれます。
気に入らないことがあると、すぐにカッとなって、暴力となってあらわれます。
親に暴力をふるう子どもの話も、いまや珍しくありません。
殺人事件にまで発展し、マスコミで報じられることも多くなりました。
最近は、世間を驚かせるというより、「またか」というのが大方の反応かもしれませんね。
このような傾向は、はたして子どもに限ったことでしょうか?
昨今の報道を見てみても、二十代半ばや三十代であっても、衝動的感情にまかせて事件を起こしてしまうケースが多々あります。
大人になれば衝動性がおさまるかというと、そうとも言い切れないようです。
この背景のひとつには、子どもころの親のしつけが関係しています。
問題を起こす生徒は、いわゆる「いい子」が多く、ちょっとしたつまずきが親への暴力の引き金になるケースがあります。
彼らは、学校では真面目で成績もいい生徒なのですが、その半面、神経質で完全主義なところがあります。
小さなことでも気になって、我慢できない。
思い通りにならないと、親やまわりのせいにしてしまう…
こういう生徒の親は、一般的に学歴が高く、経済的にも恵まれている場合が多いのです。
当然、子どもにも「いい大学」に入ってもらいたいと願っています。
親は、学校の成績ばかりに目が向いてしまい、しつけがおろそかになり、つい甘やかしてしまうのです。
結局こういう子どもは、思い通りにならないとき、どう対処すればいいかを知らずに、社会に出てしまうことになります。
社会は学校の成績だけでは通用しません。
よくよく考えれば、思い通りにならないことのほうが多いものです。
「うちの会社の上司は、どうしょうもない」
「近所付き合いがうまくいかないのは、◯◯さんのせい」
「結婚がうまくいかないは、 カレの親があれこれ口出しするから」
などと、まわりのせいにする傾向があるとしたら、自分自身をもっと見つめる必要がありそうです。
我慢できずにすぐにカッとなる人は、自分の置かれている状態には無関心で、外にばかり目を向ける傾向があります。
問題が起きているのは自分のせいではなく、ほかの人や周囲のせいだと考えてしまうのです。
これは甘えにほかなりません。
甘えは子どもの心理であって、この甘えを取り除かない限り成熟した大人とはいえないのです。
気持ちの乱れは、環境や相手のせいではなく、あなた自身にあります
朝、気分よく家を出たにもかかわらず、踏み切りや信号などで待たされた途端、イライラがはじまって機嫌が悪くなってしまう人がいます。
今このページを読まれている方の中にも、心当たりのある方がいるかもしれません。
足を踏み鳴らしたり、しかめ面で腕時計をにらんだり、舌打ちをしたり…
なかには、すれ違いざまに少し肩が触れただけで、捨てゼリフをはく人もいます。
感情が安定している人というのは、気持ちを冷静に保つ術を知っています。
周囲の状況を考慮でき、一息置いて物事に対処できるのです。
こうした感情の起伏の違いは、先天的な要因が一部あるといわれますが、自覚してトレーニングすることによって改善できます。
トレーニングについては後述しますが、まず大切なのは、感情を抑える力があるかどうか。
つまり、自分が置かれている状況や課題を客観的に見て、自分との関係を把握する力があるかどうかということです。
心理学ではセルフコントロール(自己制御)といわれています。
あなたは、友人の発したひと言を受け流すことができず、カチンときてしまい、激しい口ゲンカをしてしまったという経験はないでしょうか?
これもやはり、感情が安定していないためです。
日常のささいなことに気持ちが乱れるのは、まわりの状況や環境、相手のせいではなく、つまりのところ自分自身に理由があるのです。
まず、この点を自覚しましょう。
自分自身の心の内に目を向け、客観的に見ることからはじめることです。
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