無意識に幸せになれない結婚を選んでしまう人
「恋人といつも一緒にいたい」という恋愛初期のジレンマについて、以前に述べてきたが、一方で「いつも一緒にいたい」という感情に恐れを抱く人たちも、最近ふえている。
あるとき、二七歳の女性から、こんな相談を受けた。
彼女は男性とつきあっても、何回か会ううちに、彼女のほうから別れを告げる形で関係が終わってしまう。
「デートは楽しいんです。でも、彼が毎日のように電話をかけできたり、毎日会いたいなどと言われると、とてもうっとうしい。私は自分のための自由な時聞がほしいんです」と言う。
けれど、もっとくわしく話を聞くうちに、じつは別の問題があることが分かってきた。
彼女は思いつめたような目でこう言うのだ。
「お互いの間の距離が縮まるのが怖いんです」
自分の心が裸にされ、何もかも見すかされそうになるのが耐えられない。
だから「もう別れましょう」と口にしてしまう。
異性との間で緊密な関係を営むとき、その相手に心が近づくにつれ、二人の間の距離が縮まることにある種の恐れを感じることは、たしかにある。
この現象は、結婚を真剣に考えた段階で起こったり、結婚生活を始めて間もなく生じたりする。
また、結婚を前提にしたつきあいであるかどうかにかかわらず、二人の関係が深まるにつれ、同じようなことが起こる場合もある。
相手との距離が近くなることが怖い。
それはなぜなのか。
愛情を交わす関係なら、むしろ相手との距離を縮めたい、一緒に過ごす時間を多くもち、お互いにもっと理解しあいたい。
そういった思いを抱くのが自然ではないか。
先に挙げた女性に、そういう思いが全然ないかというと、そうではない。
そういう思いを抱くときもあるが、それが、相手に近寄られたときの恐怖の感情によって消されてしまうのだ。
恐怖が生じる原因の一つは、自分のアイデンティティ(自我同一性、主体性とも訳される)がまだ十分に確立していないために、自分の存在が不安定になるからだと考えられる。
相手に自分が取りこまれ、自分がなくなってしまいそうになることから、恐怖を感じるのだ。
反対に、自我が確立している人が、その自我を強く主張することで、自分のアイデンティティを確かめたいと望んでいる場合もあるだろう(これは潜在意識にあるので、当人はそのことに気づいていないことが多い)。
その望みが、個性の強い人との深い関係においては、妨げられることがある。
自分の意見や考え、思いなどをその相手に向かっては言えなくなるのだ。
そこで不安が生じる。
このタイプの人の場合は、自分にとって異質な相手の性格、意見、感性などにうまく適応できないという問題を抱えていることが多い。
こういう人は、結婚によって大きなカルチャーショックを体験することになる。
多少の葛藤はあっても、「結婚さえすれば、なんとかいい関係になるだろう」と期待していたものの、いざ結婚したらとたんに素直な会話ができなくなったという人もいる。
カウンセラー達の経験の中では、決して珍しいことではないみたいだ。
実は、このパターンの恋愛をする人は、実にバツイチになることが多い。
もちろん、離婚する理由はたくさんあるけれど、皆さん共通していませんか?
「家族間の会話の現象」や「相手に対して不満があること」
あなたも知らないうちに、このだめになる結婚パターンへと引きずり込まれているのです。
ですが、恋愛に臆病になることはありません。
一度結婚を経験して、あなたには失敗という素晴らしい経験というものがあるのですから。
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