「他人への態度は3タイプ」のうち、あなたはどれですか?
人の特性を理解するのに役立つ一つの知恵を紹介しよう。
精神医学者として著名なカレン・ホーナイは、「人間には、他人に対する態度に特定のスタイルがある」と言い、それを次の三つに分けた。
①他者に思考するタイプ
②他者に背を向けるタイプ
③他者に立ち向かうタイプ
①の「他者に指向する」人は、他人に好かれ、愛されたいという強い願望があり、相手から好かれなくなるようなことは避ける傾向が強い。
そして、相手から嫌われないために、相手の要求を拒否したり、相手に対する怒りの感情などを表現することはしないし、できない。
つまり、愛されたいという目的のために自分を犠牲にしたり、相手に対して過度に協力的、援助的になることを厭わないタイプである。
②の「他者に背を向ける」人は、自由になることを求める傾向が強い。
献身することや、拘束されることを好まない。
クールで内向的、超然とした態度を示すといった特徴がある。
また、独立心に富み、心身ともに強靭で、周囲の人から優秀な人間だと見なされることが多いタイプである。
③の「他者に立ち向かう」人は、権力を重視する。
自己主張が強く、他人から恐れられたりする。
完全主義者で、他人に対する要求も多いタイプである。
これらはそのまま、恋人との接し方にもあてはまる。
したがって、こういったタイプのうち、どれに相手や自分の、他人に対する態度(基本的なスタンスと言ってもよい)が該当するのかを知っておくと、問題を理解するのに役立つと思う。
特に、なぜ考え方や感じ方が違うのかが分かってくる。
すると、二人の間に葛藤が起きるのを防ぐこともできるようになるのではないだろうか。
なぜか相手が離れていく人
自分のタイプと相手のタイプが相反する場合には、当然、葛藤が生じやすくなる。
たとえば、自分は「他者に指向するタイプ」で、相手が「他者に背を向けるタイプ」であれば、どういうことが起きるだろうか。
こちらが相手に近づこうとすればするほど、相手は自分から離れていくだろう。
そこで、離れていく相手に対して、腹を立てたりする。
ところが、それをストレートにあらわすと、相手に理解してもらえないばかりか、相手はますます自分から離れていってしまうことになる。
逆に、その相手に嫌われたくないために、その怒りの感情を我慢してしまうと、仕方がないとあきらめる一方で、基本的には相手との聞に距離があることに満足していない、という状態になる。
しばらくはその欲求不満の気持ちを抑えているのだが、抑えきれなくなると、相手に対して感情的に自分の気持ちをぶちまけてしまったりする。
あるいは、自分の欲求を満たしてくれる別の人との関係を求めるようになる。
「いつも恋人が自分から逃げていってしまう」とか「彼は自分とはクールな関係だが、ほかの異性とは親しく話を交わしている」といった現象の原因の一つは、こういう特性によって説明がつくのである。
一方、自分は「他者に指向するタイプ」で、相手は「他者に立ち向かうタイプ」という場合は、双方が向かいあっているという点では一致するけれども、相手の主張やパワーに 圧倒され、相手に迎合するといった、強者対弱者の関係になる可能性が高い。
このカレン・ホーナイが示した生き方の基本的スタンスの類型は、他人との距離に関す る心の構えを示したもので、分かりやすい。
いまつきあっている人との関係を判断するのに、きっと参考になると思う。
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