よくテレビや歌手などで、生涯忘れられない人という言葉を耳にします。
どれだけ恋愛が豊富な人でも、ほとんどの場合は忘れられない人というのは存在し、これはモテる人でも同じです。
そんな忘れられない恋をする人の心理状態を見てみると、振られた相手や片思いの相手ほど記憶に残りやすいと言われています。
これは心理学の世界では「ツァイガルニク効果」と呼ばれ、忘れられない恋というのは脳内で美化され、あの人が1番だったという記憶が忘れられない原因に挙げられています。
このように多くの人が忘れられない失恋や後悔を経て大人になっていくわけですが、なぜこれらの経験は必要なのでしょうか?
「後悔」はしても「後退」はしない
真剣に打ち込んできたことに失敗したとき、本当に好きな人、大切な人と別れたとき。
「これもまた勉強だ」と割り切って考えることは現実には難しい。
思いが大きかっただけに、落ち込み方も大きくなる。
「あのとき、ああすればこんな結果にならなかったのに…」と、後悔ばかりが思い立ち、いつまでも考え込むものです。
しかしそれでいいのです。
それくらい後悔して思い悩むくらいでないと、身に泌みて学ぶことはできない。
「後悔するような人生は送りたくない」とは、よく耳にするセリフですが、一方で「後悔のない人生なんて薄っぺらなもので、逆に大きな後悔をしそうだ」という考え方もあります。
後悔することを恐れて、安全な道ばかりを選んでいて…それが必ずしも面白い人生でしょうか?
人生には究極の選択がつきもの
長い人生の間には、どちらを選んでも後悔が残ってしまうような「究極の選択」が一度や二度はあるものです。
どんなに自分を信じて懸命にやっていても、いい結果が出ないときもある。
そのとき「精一杯やったからいい」と簡単に割り切ってしまえる人より、「必死でがんばったつもりだけど、まだ足りなかったかもしれない」と後悔できる人のほうが、人生の面白さを手にすることができる人なのです。
そんな苦しい後悔を経験し、取り返しのつかない失敗にまみれて、人はしだいに強くなっていく。
体(筋肉)と同じように、心もいったん打たれて、壊され、再生することを繰り返して鍛えられていくのであって、心だけは放っておいてもスタミナがついてくるということはない。
ただし「こんなに思い入れをやってできなかったんだから、もうやめてしまおう」「こんなに失恋がつらいのなら、もう二度と人を好きにならない」となってしまったら、それは後悔を通り越して「後退」です。
自分の後悔に押しつぶされ、または自分で押しつぶしてしまっていて、自暴自棄になってしまうのではあまりにもったいない。
心にスタミナがある人は、その「貴重な体験」を無駄にはしない。
”なんとか活用してやろう”という考え方をする。
失敗や後悔を肥やしにして「これからだ」と思えることが、「心が強い人」への第一歩です。
「立ち直り方」にその人の本心が見えてくる
後悔せずにはいられないほどの手痛い失敗を人は「貴重な体験」と言うことがあります。
それを生かさないのは、もったいない…という意味です。
その理由は、思いどおりにいっているときより、うまくいかなくなったときの方が学ぶことが多いからです。
より深く、大切なことを身につけることができると言い換えることもできます。
順調にいっているときは、誰もが楽しいし、「よし!もっとがんばろう」とますますやる気もわいてくる。
やることなすことがうまくいくから、自分のやり方を疑わないし、自分がやっていることの意味や価値を深く考えることもなく、イケイケドンドンで物事がスムーズに進むのです。
そこでスランプに陥ったり、失敗したとき初めて「これはどうしたんだろう?」と考えるチャンスが与えられるわけです。
「どうしてうまくいかなくなったのか」と、自分のやり方を疑い、これまでを振り返る。
今まで先のことしか考えていなかったのが、立ち止まって過去を検めることになるのです。
反抗期の子供を例にすると分かりやすい
「ウチの子はいい子だ。うまく子育てができた」と思っていたのが、子供が反抗期を迎え、親のいうことを聞かずに悪事に手を染めるようになってから、「この子は変わってしまったのか?」「私の育て方が間違っていたのか?」と悩むようなものかもしれません。
「どうしてそんなに反抗ばかりするの?」「言いたいことがあればはっきりいってちょうだい」
自分の中では答えが見つからない親は、子供に問いかけ、それがわが子と真剣に向かいあった初めての機会だったという人もいます。
そこで真剣に話しあうことができれば、この親子は新しい関係を築いたことになり、雨降って地固まるのです。
失敗やつまずきは、ゴールまでの道のりを考えれば停滞や遠回りであり、時間の無駄と思われがちです。
しかし私たちは「百メートル競走」のゴールを目指しているわけではありません。
問題は、「いかに自分が充実した人生を送るか」であり、そのためには、失敗やつまずきは自分の道のりを見つめ直すいいチャンスと「位置づけ」て考えてみよう。
せっかく転んだのだから、タダで起きてはもったいないではないですか。
そしてもうひとつ。
失敗やつまずきから立ち直ってゆく過程においてこそ、その人の個性が育まれてゆくものです。
いや、それぞれの人が実に個性的な「立ち直り方」をするものなのです。
なりふりかまわず自分と「闘う」からであろう。
「立ち直り方」にマニュアルはないのであって、いずれにせよ「自分という者」を見つめる絶好のチャンスであることは間違いありません。
また、「失恋のショックから立ち直れない時の対処法」もセットで読んでみましょう。
失恋から立ち直れないということは珍しいことではありませんが、忘れられない失恋だった場合は立ち直れない期間が異常に長いのが特徴的です。
1年間や2年間というのはざらですので、長期間悩むくらいであればしっかりと対処法を知り、心をリセットして新たな自分の人生を歩んでいきましょう。
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